1-7.スマホとかSNSとか・・正直めんどくさくナーイ?

SNS疲れのイラスト(女性)

メディア批判の続きのような感じになりますが、それだけ、現代社会において人の心に強い影響を与えてしまっているモノということで、ご理解くださいませ。

例えば、一日中目的もなくずっとテレビを見続けていると、誰でも心が疲れてきます。同じく、一日中目的もなくずっとSNSに触れ続けた場合も、心が疲れてきます。多過ぎる情報と強烈な刺激による心への負荷のためです。疲れない場合は、情報や刺激にフィルターをしているか、心が部分的に麻痺しかけています。

現代社会は「情報化社会」とよく言われますが、人間の心や脳は、この多過ぎる情報の量と質・刺激の量と質を真正面から受け続けることに耐えられはしません。その意味では、むしろ「情報過多社会」です。

ほんの百年ほど前までは、人が得られる情報のほとんどは、自分の周囲の家族や友人など、ごくごく限られた人たちから与えられるもののみでした。人が得られる刺激も、自分の実生活の中での直接的な体験を通じてのものがほとんど全てでした。

はい、おさらいです。情報媒体というものが、まずは文字中心の新聞や書籍や雑誌、音声を伝えるラジオ、映像をも伝えるテレビといったように急速に発達し、通信手段も手紙から電話や携帯電話・・と急速に発達しました。これら両方とも、「メディア」でしたね。

今は多くの人が肌身離さず、まるでそれ自体が家族や恋人でもあるかのようにスマホを持ち歩き、インターネットやSNSに絶え間なく触れ、情報や刺激を否応なく得続ける生活となっています。これはおそらく、百年も前の人から見れば異常な環境で、病的ですらある心理状態です。「そんなに負荷与えて、心、大丈夫?」というくらいの状態です。

ちなみに一説によると、現代の私たちが一日で得る情報の量は、平安時代の人が一生かかって得られる情報の量とほぼ同じだそうです。私たちの心に、日々、大きな負担が掛かり続けていることが、よくわかります。

 

【多過ぎる刺激や情報】

人間も他の全ての動物と同じく、長い時間の中で少しずつ進化して今の状態の心や脳を手に入れることができた「動物の一種」です。ですので、その人間の心や脳が、ここまで急激な情報環境・刺激環境の変化にぴったりと対応して進化できているはずは、もちろんありません。

無限に絶え間なく飛び込んでくる目や耳からの情報や刺激は、多くの人々の心や脳を疲れさせ、そして人は、これ以上疲れまいとして、心や脳を守るために、自らの心や脳を麻痺させます。ほぼ無自覚のうちに、人は、自分の得られる情報や刺激の一部を、得られないように遮断します。

ここで残念なことに、過去には宗教や思想といったものが担っていたであろう「愛を肯定し、心の価値を定義する、良い形の社会規範」が確立していない現代日本のようなアヤフヤ社会では、この情報や刺激の遮断は、それぞれの人の心の中で、自分自身の心や自分の大切な人の心を大切にできるようにうまくは必ずしも行われません。

例えば、本来は自分の人生で本当に大切にすべき、目の前にいる自分の家族や自分の友人などからの情報や刺激といったものを遮断してしまい、ネットやスマホやSNSの中の安全で大量で自分好みの情報や刺激を得ることを優先してしまう人がいます。

家族との食事や友人との飲み会の席でも、スマホばかり見ている人が少なくなかったりしますよね。誰かが目の前で話しているのに、それよりもSNSの通知やメール連絡があった誰かのことの方が気になったり・・。

このような傾向がどんどん強化されていってしまうと、ともすると人は、自分の現実の人生を大切にできなくなってしまうかも知れません。

自分自身の心や自分の周囲の大切な人たちの心をも、大切にできなくなってしまうかも知れません。

 

【多過ぎる情報や刺激と心とのバランスをとる】

現代社会にあふれている、ひっきりなしの多過ぎる情報や多過ぎる刺激は、人の心をかき乱すノイズになりかねません。

それがなければ平穏で心穏やかだったはずなのに、このノイズにより心は乱れます。情報量は多くて情報の速度も速くて確かに便利かも知れませんが、それによって人の心が幸せになってはいないケースが非常に多い。

このようなノイズを代表するものが、現代社会においては、おそらくスマホです。携帯することができ、遠くにいる不特定多数の人や情報や刺激と、ずっと繋がれ続けてしまいます。

休まることなくずっとであるだけに、心は疲れ、心は麻痺し、心のしくみの一部が壊れていくことも珍しくはありません。その上で、スマホゲームも含めて依存性は高く(依存性が高くなるように作られており)、扱い方を誤れば、究極的には「人をやめるかスマホをやめるか」みたいな状態にすらなる、人の心の性質にうまく残酷に働きかける麻薬のような性質をも持つものです。

私のところに相談に来られた方の中にも、自分とスマホとの距離の置き方を調整してスマホ依存を断ち切ることで、心の負荷が軽減されて、現実の人間関係と自分の心を大切できるようになり、心のバランスを保ちやすくなった方が少なからずおられます。

この情報過多・刺激過多な社会の中で人が本来の心のかたちや愛のしくみを保ちながら人間らしく生きていくためには、情報や刺激が多過ぎる社会や環境に身を置いているということをまず自覚し、時には、ノイズとなる情報や刺激を意図的に遮断して(スマホやSNSやネットを休憩したりして)心や脳のバランスをとったり、「何が本当に大切なのか」を時おり自問自答したりして、人間らしい心のバランスに修正し続けることが大切です。

スマホやネットやメディアの奴隷となっていないか、自分の心を見つめ直し、自分の心を自由な状態に保ち続けることが大切です。